本科・日本語科合同合宿

合宿

学院報インタビュー60 野本初紀さん

野本さん

台湾ドラマや武侠ドラマが好きだった

 母が台湾出身でしたが、私は日本生まれの日本育ちだったので、中国語は全くできませんでした。
 高校の第二外国語で中国語を学び、興味をもつようになり、話せるようになりたくて続けて勉強しようと思いました。また台湾ドラマや武侠ドラマが好きだったので、中国語を本格的に学びたいと思うようになりました。
 大学進学も考えて、大学を調べてみましたが、当時私の理想とする中国語に特化したカリキュラムのある大学はなかったので、中国語だけを専門的に学べる日中学院に進学することを決めました。2年次に短期留学に行くことも魅力でした。公開講座にも母と参加し、中国語を丁寧に教えてくれるし、アットホームな雰囲気にも惹かれました。

短期留学や留学生との交流が思い出

 本科2年と研究科1年で3年在籍しましたが、一番の思い出はやはり短期留学ですね。初めての中国で、異国の生活は全てが新鮮で刺激的でした。万里の長城を登った時の感動や西安小旅行の寝台車の中で、みんなでヒマワリの種を食べたのも思い出です。そうそう、当時大学の前で、普通に子供を連れたお母さんが、偽学生証や偽卒業証書を売っていたのにはカルチャーショックを受けましたが…(笑)。
野本さん
 またクラスメートは色々な年齢層の方がいて、年齢が上の方とも仲良く勉強できたのも良かったです。卒業後ですが、60代、50代、40代、20代で一緒にディズニーランドに行ったのも良い思い出です。きっと周りの人は家族旅行だと思っていたことでしょう(笑)。
 年配の方々は一生懸命勉強していたけど、年齢的な問題でなかなか思うようにできなくて苦しんでいるのを見て、「語学は若いうちにやっておくほうがいい」とつくづく感じました。あと留学生との交流も思い出深いです。春節パーティーで一緒に餃子を皮から作ったり、仲良くなった子とカラオケに行き、日本語と中国語の歌を一緒に歌ったりと、日中学院に入らなかったらできなかったことだと思います。火鍋パーティーなんかもしましたね。留学生は各々帰国されてますが、今でも連絡を取り合う仲です♪
 授業は厳しかったですが、中国語オンリーで学べたのも良かったです。私は1年生の時に“r”と“l”の発音の区別がなかなかできず、先生や留学生相手に何百回も練習して、やっと“rén”の発音ができるようになりました(笑)。すぐ傍に発音を確認でき、質問できる環境があるのも良かったです。

台湾でワーキングホリデー

 卒業後は先ずは中華の飲食店で働き、その後エージェントを通してワーキングホリデービザで台湾台北のホテルで働きました。当時、ワーキングホリデーで渡台するとなると、日系のホテル、日系の居酒屋での仕事が多かったのですが、私は日本人がいない環境で働きたかったので、現地資本のホテル勤務を希望しました。フロント業務やハウスキーピングから始めてましたが、あまりにもその期間が長かったので、上司に交渉してその後は人事部のアシスタント業務に携わりました。仕事内容はアルバイトの出退勤管理やシフト調整管理、コックさんの資格調査準備などでした。びっくりしたのは台湾には高校生の時からホテルのレストランなどで研修して、それを単位としている学科があることです。日本だとブライダル専門学校やホテル・観光系の専門学校に似てるのかなと思いますが、高校生の時からあるのは衝撃的でした。ホテルで日本人従業員は私だけでしたので、ホテルからの依頼で従業員向けのフロント用の日本語講座、ハウスキーピング用の日本語講座、レストラン向けの日本語講座も担当しました。自分でテキストも作ったので、大変でしたが、今までの経験と日本語と中国語が活かせました。当時は日本人のお客さんはそれほどいなかったですが、今はかなり多いと思います。
野本さん
 全て中国語で仕事をしていたので、始めた頃は台湾の方の中国語が聴き辛く苦労したこともありましたが、1年の間で聴き取れるようになり、会話力も大分上達しました。台湾訛りになってしまいましたが(笑)。
 自分で地下の安いアパートを借りて生活していましたが、毎月10,000台湾ドルの貯金を自分に課して貯金していました。なので日本から友人らが遊びに来た時は金欠になりがちでした(笑)。食事を一食はホテルの食堂で食べられたのがとても助かりました。ワーホリ終了後の本就職も視野に入れてましたが、家庭の事情で1年で帰国しました。

帰国後から現在

 帰国後は飲食店や特許翻訳のアルバイトをし、その後は中国人観光客向けのインバウンド業務を行う旅行社で働きました。主に宿泊の手配をしたので、日本のホテルと中国の旅行社とのやり取りが多く、中国語を使う環境でもあったのですが、ブラック企業(笑)(秘)だったので半年ほどで辞めました。
 その後は、輸入品を扱う外資系企業(小売業)で人事総務経理の仕事をしています。主に東南アジアに支社を展開しています。距離的に近いので台湾支社から指導を受けたりしていますね。社員も中国、台湾、韓国、マレーシアなどアジア系の社員が多いです。上司は日本語が出来ないので社内では中国語を使っています。慣れてくると中国語と日本語が混ざった話し方になるので、周りで聞いていたら面白いかもしれません(笑)

本研の授業で役立ったこと

役に立ったな、と思うのは研究科での同時通訳の授業です。部下に台湾人(Aさん)と韓国人(Bさん)がいるのですが、Aさんの日本語レベルはそこそこ、Bさんは日本語上級者ですが中国語は分からない。でも私たちの上司は中国語がメインという環境なので、Bさんに対しては上司の中国語を私がメモして、日本語に通訳しています。Aさんに対しては中国語メインで話していますが、日本語で困っているとこなどは通訳しています。また、上司は話し始めたらものすごい勢いで話すので(笑)、同時通訳の授業で習ったメモの取り方がとても役立っています。そして授業でそういった環境を経験したからこそ、今こうして自分が通訳できているな、と感じることが多いです。
野本さん
 人事総務経理の日常業務に加え、展示会などのイベント関連業務も発生します。どちらの業務でも対社外への対応については日本語ですが、社内での報告・確認、許可取り等の場面では中国語を使う頻度が多いです。おかげで今まで触れてきたことのない中国語に沢山ぶつかることができたように思います。例えば展示会に参加したときに、「人流」や「引导」「排动线」「屏风」など一つ一つは簡単な単語やフレーズですが、普段使わないような内容です。なので最初は意味が分からないこともありましたが、だんだんと覚えていき、自分でも使うようになっていきました。なのでたまに中国語の単語はわかるんだけど、日本語なんだっけ?という現象がおこります(笑)。急いでいたりすると、中国語の方が口から発する文字数が少ないので便利なんですよね(笑)。
 なんとなくですがある程度中国語がわかってくると、知らない単語でも文脈からきっとこういう意味かな?と推測できるようになってきたな、と感じることがあるので語学を活かす、保つ環境というのは大事だなとつくづく感じています。通常業務の他にプラスαの仕事も多く大変ですが、語学の上では恵まれた環境だと思います。
 今後はそろそろ転職も考えていて、中国語は使いたいですが、人事総務の経験も生かしたいので、業種を変えるか、より規模が大きい企業で経験を積んでいきたいと思っています。具体的な考えはまだないんですけど…(笑)。

後輩へのアドバイス

 私は在学中、文法が苦手で、文法よりも感覚というか留学生との交流の中で覚えていったので、今思うと学生の間にもっときっちりと文法を勉強しておけば良かったなと思っています。ビジネスで文章を書く時も、今AIに投げれば訳してはくれますが、文法の規則をしっかり理解していれば、自分で文章を組み立てられますし正しいかどうか判断できると思います。細かいニュアンスはAIでも違うんじゃないかと思う時もありますしね。また、余裕のある方はビジネスで使う中国語の単語を自習しておくといいかもしれません。ちょっと経理寄りな内容かもしれませんが、例えば「报价单」「汇款」「扣手续费」などなど、営業職でも使うと思うので、ビジネス単語は先取りしておくと実践での戸惑いが減るかと思います。
あと、私は専門学校卒なので、これまで就職活動や仕事をしていて、待遇面や求人面で苦しんだこともあり、大卒の方が有利だとつくづく感じていますので、学生で入学された方は卒業後は可能であれば大学に行くことをお勧めします。最近は中国の大学の日本校も増えていて、最初からそちらに入ればいいのでは?と思う方もいると思いますが、実際に体験授業を受けた感想としては、基礎は日中学院に限る!でした。なんか学院の回し者みたいですが…(笑)
ただやはりこれだけの歴史があって、別科もあり、沢山の方に中国語を教えている実績があるので、それがもう唯一無二である学院の存在価値だと思います。それから、そろそろ留学の時期だと思います。個々の事情はあると思いますが、短期留学には絶対行った方がいいです。先生が全期間同行し、同学も一緒でこんな守られた頼れる環境で留学に行けるところは他にはありません。以前より手続き等が大変だとお聞きしましたが、これを目当てに入学する人もいるので、是非続けて頂きたいです。そして何より本科がずっと続いていくことを願っています。

野本初紀(のもと はつき)さんプロフィール

2010年4月~2012年3月 本科
2012年4月~2013年3月 本科研究科
2016年9月~2017年8月 台北のホテルでワーキングホリデービザで働く
帰国後は旅行社勤務を経て、外資系企業で人事総務経理に従事 現在に至る


心の距離が近づいた合宿

日本語科2年1組 孟海港

 5月の終わりに、一泊二日の合宿があった。朝、JRの駅に集合して、電車とバスを乗り継ぎ、約1時間かけて目的地に着いた。自分は2年生だけど、10月生のため、今回が最初で最後の合宿参加になった。
昼間は、「人探しゲーム」や「人数ゲーム」など、クラスを超えて交流する活動がたくさんあった。最初はお互いに少し恥ずかしそうだったけれど、声をかけたり体を動かしたりする中で、自然と笑顔が増えていった。そのあとの海辺での散歩では、波の音を聞きながら、クラスメートとの距離が少しずつ近づいているのを実感した。夕方のクラス発表では、生徒の合唱だけでなく、先生たちのサプライズの出し物もあり、みんなで大笑いした。ゲームで心がほぐれ、散歩で気持ちが和らぎ、発表で一体感が生まれた。普段あまり関わりのなかった人とも自然に言葉を交わせるようになり、「一緒に過ごす時間の力」を改めて感じた。
しかし、本当の意味で心の距離が近づいたのは、夜の自由時間だったと思う。小さな宿舎に各クラスの生徒が集まり、「人狼ゲーム」やトランプを使った交流ゲームで大いに盛り上がった。普段あまり話す機会のなかった人たちとも、笑い合いながら、いつの間にか心を開いて語り合っていた。楽しい時間はあっという間に過ぎたが、そのひとときが確かに私たちの絆を深めてくれた。
合宿が終わってからは、名前を覚えていないクラスメートとも、すれ違うと笑顔であいさつするようになった。仲間としてのつながりができたことを実感している。わずか一泊二日の時間だったが、多くのクラスメートと心を通わせることができた。この経験は、きっとこれからの人生の中で温かい記憶として残り続けると思う。

合宿
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A先生の新語コーナー

延退改革 yántuì gǎigé

A先生の新語
定年延長改革。“延退”は“延迟法定退休年龄”の略。昨年9月の全国人民代表大会(全人代)常務委会議で法廷退職年齢を引き上げることが決まった。今年1月1日から実施され、今後15年かけて徐々に引き上げる。現行の法定退職年齢は1950年代に定められたもので、男性60歳、女性50歳(幹部は55歳)となっていた。改革後の定年は男性63歳、女性55歳(同58歳)に延長される。平均寿命が大幅に延びる一方、労働人口が減少していることがその背景にある。(A)

図書室だより

2024年ベストリーディング セレクション

2024年図書室をご利用の皆様に最も多く貸し出された資料の中から、ベスト5を図書編・DVD編と分けてご紹介します。(DVD映画については原題や監督名等の詳細は省略しています。)

【2024年図書室貸出ベスト5 DVD編】

第1位『春江水暖』
第2位『あなたがここにいてほしい』
第3位『史記・司馬遷』(連続ドラマ)
第4位『こんにちは 私のお母さん』
第5位『小さき麦の花』
DVD編の第1位は、中国江南の富陽を舞台に、ある家族の運命を山水画のような美しい映像で描いた『春江水暖』でした。
また、NHK中国語講座で取り上げられて話題となった感動作『こんにちは 私のお母さん(你好,李焕英)』が第4位にランクインしました。この作品は、交通事故で意識不明となった母を悲しむ娘が突然20年前にタイムスリップし、若き日の母と出会い交流する心温まる物語です。貸出を開始してから2年半経ちますが、図書室で根強い人気を誇っています。

【2024年図書室貸出ベスト5 図書編】

第1位『出るとこだけ!中国語検定4級合格一直線』
第2位『合格奪取 HSK4級トレーニングブックリスニング問題編』
第3位『日本人のための中国語発音教室』
第4位『地図で見る 中国ハンドブック』
第5位『改定新版 瞬訳中国語 初級』
図書では、中国語検定(中検)やHSK対策の書籍といった中国語学習参考書が多くの方にご利用頂きました。また、学習参考書以外ではマンガで読む歴史シリーズも人気を集めました。
図書室では、新作DVDはもちろん、ネットでは視聴機会が少ない旧作も豊富に取揃えています。また、図書も語学参考書だけでなく小説や中国文化に関する書籍なども多数ございます。ぜひ様々なジャンルの資料をご活用頂き、中国への理解を深めて頂ければ幸いです。

【ご寄贈御礼】

下記の方々より、本学院へご著書を寄贈いただきました。心より御礼申し上げます。
※寄贈日順 2025年1月-2025年5月
・戴暁旬様(著者 本学院講師)より
 『合格奪取!中国語検定2級トレーニングブック 筆記問題編』
『合格奪取!中国語検定準1級・1級トレーニングブックリスニング問題編』
『合格奪取!中国語検定準4級トレーニングブック』
・新井一二三様(著者 元別科生)より
『日本如何崩壞 新井一二三的東京觀察』
・アルク出版編集部様(著者)より
『絵トレ中国語1000+ 見たものなんでも言ってみる』
・温又柔様(著者 本科・本科研究科卒業生)より
『恋恋往時』