新入学の皆さんおめでとうございます

皆さん、4月の入学シーズンとなりました。新入学の皆さんおめでとうございます。また、日本語科の留学生の皆さんはビザの取得などの手続きが遅れてようやく来日を果たされた方々もいると思います。春の陽気とともに、これから新たな挑戦に胸がわくわくしていることでしょう。
さて、昨年度を振り返りますと、引き続きコロナの影響を受け、学院としても受講生の総数がある程度回復基調にあるもののまだまだコロナ前の状況には程遠い状況です。一方、北京のオリンピックが終了するのもつかの間、今度はロシアのウクライナ侵攻が始まり、コロナに続いて世の中が一変する出来事が続いております。政治の世界はいろいろな要因が関係し複雑怪奇な状況です。この解決は各国が力を合わせて取り組むしかありません。
一方では、わたくしは改めて各国、各民族が交流し相互理解を深めることの重要性はますます高まっていると感じております。今回の出来事を見ても、いかに我々が各文化の本当の姿を知らずに、いろいろ意見したり、時には非難しあったりしているかを思い知らされました。また、ひとたび戦闘が起きるような事態になると、今度はその国、その民族のすべてが否定されうる事態にもなっています。友好活動とか交流活動は戦争を根源的に防ぐことはできないかもしれません。しかし、少なくとも他国、多民族の文化を知り、交流することで一方的な報道やSNS上のコメントに踊らされることは防げるでしょうし、他の国における生活を脅かすことに対する正しい批判は育てられるのではないでしょうか。
今年は日中国交正常化50周年に当たります。日中学院はその以前から語学を通してお互いの文化に触れ相互の懸け橋になろうと活動をしてきました。この50年を振り返ると、日中の国交正常化の後、日中間の経済力の逆転が起こり、中国がまごうことなき世界のリーダーになっています。それに応じて、日中間には様々な意識の差が生じ政治、経済上の問題もいろいろと発生しております。地理的条件から、日本はいやおうなしに中、米、露の 3大国の間に挟まれ今後も複雑な政治状況の中を生きていかなければなりません。問題はますます複雑さを増してくるでしょう。
しかし、私はそれだからこそ各国の交流と文化の理解を進め、相互の懸け橋になる精神は今後ますます重要になってくると考えます。そして、言葉は文化の大きな所産であります。日中学院には日中双方の文化と言葉を理解した多くの講師がおります。そして、多くの学生が日夜切磋琢磨して勉学に励んでいます。ぜひ楽しさの中にも文化交流、友好増進の精神をはぐくみながらこの新学期も一層の飛躍を目指していきましょう。
2022 年 4 月 日中学院 学院長 小松健次

吉田さん、一路走好!

日中学院本科8期を卒業後、別科講師、本科専任講師、副学院長、学院長を歴任し、約半世紀の長きに渡り学院の教学・運営を支えてこられた吉田隆司先生が1月6日ご逝去されました。これまでのご尽力に心から感謝し、謹んで哀悼の意を表します。追悼文と懐かしい写真で偲びたいと思います。

吉田隆司先生

加納陸人(文教大学名誉教授)

本年、1月12日に小田富裕子さんからお電話で吉田隆司元日中学院長が6日に逝去(享年74歳)されたことを知りました。今も信じられない気持ちで、このことを受け止められずにいます。
昨年、『江尻健二と日中学院』を上梓し、その事後処理で11月15日に新宿御苑でお会いしました。1カ月半前にお会いしたときよりも痩せてやつれた印象でした。御苑は菊が満開で、秋晴れのさわやかな日差しの中をしばらく散策し、会議場所を探しました。
帰路、新宿での別れ際、吉田さんに「じゃあ、気をつけて!」と挨拶したら、「気をつけてもどうしようもないんだよ…」という言葉が返ってきました。吉田さんは10数年前に心臓を手術され、月に1度は通院をしているということもあり、そのときの様子が頭を離れず体調を案じていましたが、それが現実のものになってしまいました。
吉田さんは1971年に学院の本科8期生として入学されましたが、私が初めてお会いしたのは、その翌年で神保町の内山書店ビルの学院事務室だったと思います。ともに団塊の世代で、吉田さんは年齢が1学年上の先輩にあたり、私が事務のお手伝いを始めたころ、すでに事務で仕事をされていました。当時、学院の裏手が銭湯になっていて、夕方、吉田さんが仕事の前に銭湯に行き、いつも首にタオルを巻いてあの狭い事務室で煙草を燻らせている姿が今でも脳裏に焼きついています。
吉田さんの中国語は、「耳と口」を重んじ、拼音だけの学習法が徹底していました。倉石メソッドの忠実な体現者でもありました。1年間漢字はまったく使わなかったといいます。事務室でもよく中国人講師と中国語でやりとりしている姿がありました。
当時は授業料の値上げや学院の存在意義、教職員の処遇、「善隣学生会館」などをめぐって論戦が交わされた時期で、吉田さんたちのクラスは学院の現状と将来を思い、倉石先生に質問状を突きつけ、学院の責任体制を求め事務室前をバリケードで封鎖したこともあります。  
倉石学院長は体調を壊され、痛風の痛みに耐えながら真摯に対応されていましたが、経営悪化による給料の未払いが発生する中、「日中学院崩壊説」が流布されました。しかし、この危機を乗り切ることができたのは、昼夜を問わず学院の将来を語り合った若い力で、吉田さんもその一人でした。
1974年、中国からの帰国者のために4人(吉田隆司、井口俊一、鈴木繁、加納陸人)で、ボランティアで日本語教室を立ち上げました。すずらん通りの近くにあるビルの一室を借り、金銭的には厳しかったのですが、月3万円の部屋代を皆で出し合いました。当時は帰国者にとって夜間中学しか日本語を学ぶ場所がなく、口コミで多くの学習者が集まってきました。本来は国がやるべきことですが、吉田さんは教室の設立と運営に積極的に関わってくれました。私にとっては日本語教育の原点になりましたが、いろいろ助力してくれた吉田さんには感謝の言葉しかありません。
その後、吉田さんは別科講師、本科専任講師として中国語教育の中核を担い、1994年に江尻さんの後を継ぎ副学院長、2005年に学院長に就任、退職後、強く請われ2014年に再び学院長に就任し、学院のために尽瘁されました。私は90年代初頭に学院を去り、吉田さんとは年賀状のやりとりと年に数回お会いする程度になってしまいました。
吉田さんは後年、自分は江尻さんから多くのことを学んだとよく口にしていました。学院の運営については、1970年代、80年代に携わった運営で培った手腕が生かされたと思います。しかし、18歳人口の減少や日中関係の悪化などによる学生減少、また、学院の中では世代交代が進み、考え方や価値観の違いに直面し、多くの葛藤や苦悩があったのではないでしょうか。そのような中で、吉田さんが大切にしてきた学院の理念である日中戦争の否定から出発し、中国人との相互理解に努め「日中のかけ橋」になることをめざし、倉石先生が提唱された「耳と口」による中国語教育を貫いてきました。
半世紀にわたり日中学院を支え、生涯をささげた吉田さんに心からお疲れ様と言いたいです。同時代をともに生きてきたかけがえのない仲間を失い寂しい限りです。
吉田さん、一路走好!
吉田さん、一路走好!

A先生の新語コーナー

“双碳”目标

A先生の新語コーナー
“双碳”は”碳达峰”、碳中和”を指す。中国は2030年までの「炭素(排出)をピークアウト」及び2060年までの「カーボンニュートラル」実現を目標とすることを決め、習近平氏が2020年9月の国連総会で正式に表明した。ピークアウトは頂点に達してそれ以降は下がっていくとのこと。カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出を森林などの吸収源によって実質ゼロにすること。「パリ協定」に基づき、国別の排出削減目標を示すことが求められている。(A)

本科・日本語学科弁論大会

去る2月9日日中友好会館大ホールで恒例の本科・日本語科合同弁論大会を行いました。
各科それぞれの弁論を紹介します。

本科的这两年

本科二年 福山 佳惠
回顾这一年,我发现有了很大的收获,不只体现在学习上,也体现在在生活上。虽然这一年因疫情的影响,很多活动被限制了,但比起去年的我来说,确实经历了很多事情。
首先我想说说我和妈妈的关系。因为我妈妈是中国人,从小到大我做什么事她都爱管。虽然知道妈妈是在担心我,可是每次被束缚的感觉都让我很难受,所以也会经常跟妈妈吵架。可是进入日中学院以后我慢慢了解了一些中国文化,语言上也有了一些进步,现在有什么事都可以用汉语好好商量,很少吵架了。
其次是在学习上。一年级的时候因为我是混血,比起其他人,我对汉语更熟悉一些,所以并没有认真学习汉语,甚至还经常迟到。可是上了二年级之后,老师对我们的要求变高了,学习的内容越来越难,作业也越来越多了。在一年级的时候,老师跟说上了二年级后,会忙得连打临时工的时间也没有。当时我还以为这是开玩笑,但现在看来,老师说得一点也不夸张。几乎每天上完课回到家,不是写作业就是预习第二天的课,忙得差点让我怀疑人生了。但看到同学们的进步都很快,我也开始专心学习了。
一眨眼就到了一月份,多亏同学们的内卷,我也慢慢感觉到了自己的进步,也考上了大学,而且在这一年的时间里,我还认识了几个留学生朋友。感受到了他们的热情,第一次吃到了地道的中国菜,体验了抢单文化,体会到了不同语言之间沟通的困难。所以我很感谢在这个学校认识的每一个人,是他们,给我带来了充实的校园生活。

福山 佳惠

失敗だらけの人生

3年1組 劉 郅維
失敗は、よくあることです。人生は山あり谷ありともいいます。でも、私のこの短い人生は、今のところ、谷だらけです。
まず、名前から失敗しています。私の名前は、リュウ シツイです。シツイ? そうです。「失意のどん底」のシツイです。明るい未来が見えないような名前です。
私は三年前、日本へ来ました。ちゃんと勉強すれば、早稲田ぐらい入れるだろう、とかなり自信を持っていました。でも、この自信家の私は、一年生のとき、学校以外の時間は、家でドラマやアニメを見たり、インターネットカフェで友達と徹夜でゲームをしたりして、自分に甘い生活をしていました。受験勉強を始めてみると、自分の日本語はめちゃくちゃだと気づきました。2年生のときも、見事に受験に失敗しました。コロナの影響を理由にして、失敗を正面から受け止めず、逃げていました。
3年生になって、ようやくまじめに勉強を始めました。受験当日、緊張しすぎて、得意な面接もやらかした。失敗でした。「不合格」の三文字を見た瞬間、頭が真っ白になりました。今回の失敗は、逃げる時間も与えてくれませんでした。まるで、顔面に鋭いパンチを食らわされたようでした。「お前はホンマになんもできへんな」と自分の心の声が叫びました。
自分の人生を振り返ると、改めて、失敗だらけだと思いました。親の話を聞かない、わがままな失敗息子。学生時代は、ルールを守らない、勉強しない、よく先生に迷惑をかける、失敗学生。リーダーとしてサークル活動をうまく運営できない、失敗リーダー。数えきれない失敗で、頭がいっぱいです。
親友に電話して、学校のことやいろんなことをディスったり、悪口を言ったりしました。悔しくてたまらなくて、自分の感情がそこで爆発しました。
「リュウが一番失敗していないところは、立派な人格と思想を持って生きていることだ。あの夜、君が理想を語っている姿、目の輝き、私は一生忘れない。いいか、どんだけ失敗しても、あの目の輝きは、曇らせるんじゃないぞ。そして、自分を見失うんじゃないぞ」
私は親友の言葉に感動しました。救われました。そして、ちょっと恥ずかしいと感じました。でも正直なところ、電話する前には、もう自分の心のなかに、答えがありました。
うまくいかない時にこそ、自らの未熟さを受け入れるのです。失敗を受け入れることは、失敗に頭を下げることではありません。むしろ、それは自分の人生の養分になります。その栄養を吸収して、自分なりの花を咲かせれば、それでよいと思います。
「頑張れば、必ず理想を実現できる」というのは、ただのきれいごとです。多くの場合は、あなたの努力が報われることはありません。それでも、理想はこの世に存在していると思います。何があっても、私たちの目の中の理想の光は、消してはいけません。君が失敗したとき、君が失意のどん底にいるときでも、依然として前に進む勇気を持つことです。私の人生は失敗だらけですが、こんな人生でも、こんな私でも、勇気を持って、前に進もうと思います。そしていつか、自分の光で、周りを照らせるようになりたいです。

劉 郅維

図書室だより -図書室のご案内-

新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。

本学院には2階奥に図書室があり、日本有数の資料も含めた約2万点の中国関連の図書を所蔵しています。図書室は学院に在籍する方はどなたでも図書を借りることができます。是非ご活用頂き、中国語学習や中国理解にお役立て下さい。

図書室

学院図書室の特徴

当図書室は、中国語学習の参考書やHSKや中検などの試験対策問題集はもちろん、中国社会や文化、文学芸術などの書籍(中国書・日本書)を幅広く取り揃えております。また日本語科生のための日本語のテキストや大学受験のための問題集、さらに日本の知識をより深めていただけるよう、中国語で紹介された日本の本も充実しています。また日本未公開の映画や人気テレビドラマなどのDVDも多数所蔵して,映像を通じて中国語や中国社会を理解することもできます。また、『聴く中国語』などの語学雑誌や中国出版の《读者》《小说月报》の文芸誌もあり、中国の小説やエッセイなども気軽に読むことができます。

図書室ご利用案内

開室時間について

現在コロナ禍の状況の下、別科開講期間に合わせて週4〜6日の開室とさせて頂いています。状況により変更の場合もあります。開室日、および時間につきましては図書室掲示板のスケジュールをご覧いただくか、学院にお電話でお問合せください。

貸出期間・点数

本 ・・・・・・・・・5冊
視聴覚資料 ・・・・・3点
貸出期間 ・・・・・・2週間(3回まで延長可)

利用するには

図書貸出カードが必要となります。貸出カードは図書室で作成しますので、利用希望の方は図書室(学院2F奥)にてお手続きください。)

図書室掲示板にご注目ください

1階と2階の階段の踊り場に図書室の掲示板があります。新着図書のご案内や予約本到着のお知らせ、開室時間の変更などをお知らせしています。

2022年4月オンライン講座が多数開講します!!

ゼロからスタート入門クラス

早朝オンライン週2コース(4月班)

開講日:4月11日(月)(月・木)7:30 〜 8:30

オンライン週2コース(4月班)

開講日:4月12日(火) (火・木)19:30 〜 20:30
耳と口を通し中国語に慣れ、正しい発音が聞き取り、自らも発音できるようにします。

既習者向け基礎課程クラス

オンライン週2コース(7月班)

開講日:4月11日(月) (月・金)19:30 〜 20:30

オンラインゼロからスタートⅣ

開講日:3月15日(火) (火・木)19:30 〜 20:30

中国語検定2級程度の方を対象にした上級コース

オンライン中国語で話そう

開講日:4月13日(水)19:00 〜 21:00
基本的な中国語力を身に着けた方を対象、表現力と応用力を深めていくコースです。授業は全て中国語で行います。

中国語検定3級以上の方を対象にした中上級コース

双方向交流のリハーサル

開講日:4月16日(土)10:00 〜 12:00
中国語を使って自由に会話できることを目指します。日常生活や時事的話題でよく使われている中国語を勉強し、繰り返し練習を重ねていくコースです。